卒論を燃やす

こんにちは。卒論を焼きにきました。

今回のディスクリプションはこちら。 

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巌の上に坐る観音像です。高さ23.5cmほど。何朝宗のものに比べると前髪のボリューム感や顔の彫りが薄く、また顔のサイズ感から肉感に欠ける印象です。しかし巌の質感や衣服の襞、指先の表現は繊細に作られており、何朝宗作品に近いクオリティです。頭の上から白衣を被り、右肩に垂らしています。胸には瓔珞をつけ、その少し下の位置で衣服をねじるようにしてまとめています。左膝を曲げ右脚を立てた姿勢で、右手を立てた右膝の上に置いています。足の指は何朝宗のものに比べると少々短く感じられます。後ろには浄瓶を配しています。これは楊柳観音のイメージに強く影響を受けたものと考えられます。

顔ちっさいですね。羨ましい。

 

さて、もう1作品やっちゃいましょうか。

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林孝宗 渡海観音

珍しく作者が分かっています。林孝宗の渡海観音です。高さ24cmほど。前髪は真ん中で分かれており、髪を後ろで二つに分けてそれぞれを肩に垂らしています。顔立ちは大きな目に小さく引き結ばれた口とどこか幼く、愛らしい印象さえ与えます。胸のあたりには瓔珞を下げ、袴のように衣服をお腹のあたりで結んでいます。また、布を肩から垂らすように纏っており、風を受けて後ろになびくような表現もなされています。なんといっても特徴的なのは、衣服の裾と思われる部分で、裾をうつわのように丸めてその上に乗り、海を渡っているのです。波の表現は少し繊細さに欠けるようです。渡海というのですから、補陀落山(観音さまの住まう場所と考えられている)に向かっていると思われるのですが、よくわかりません。渡海というと文殊菩薩が有名なのですが、顔立ちの幼さくらいしか共通点はありませんし・・・。いったいどういう伝説に基づいているのか、謎ですね。

 

ここまでお読みいただきありがとうございました!また次回もディスクリプションをしていこうと思います。