卒論焼こうぜ
こんにちは。卒論を焼きにきました。
前回は定窯のことでだいぶハッスルしてしまい、白磁の紹介で終わってしまいました。
今回はまずヴンターカンマーの紹介をしてから徳化窯で作られた陶磁器の種類分けに入ろうかと思います。
17世紀バロック時代にとくにドイツの諸侯がつくったいわゆる〈クンストカンマーKunstkammer〉や〈ブンダーカンマーWunderkammer〉は,〈宝物殿〉あるいは〈珍品室〉とも訳すべきもので,狭義の美術品だけでなく,珍しい貝殻,サンゴ,宝石,科学器械などを集めたものであったが,これもまた今日の美術館,博物館の原型の一つと見ることができる。
以上、世界大百科事典の「美術館」より引用です。
画像をお見せできないのは残念ですが、壁一面、さらには部屋中にぎっしりと蒐集品が飾られている光景は圧巻です。とにかく置いて「在る」ことに価値を見出したのでしょうね。大航海時代により大きく広がった世界を、モノの蒐集という手段によって見つめようとしたのでしょう。そういった活動はいつしか保存・展示へと発展し、現在の美術館・博物館を形作るようになったと言われています。だからかヨーロッパの博物館は、私はオランダとイギリスしか行ったことがないのですがとにかくミッチミチです。日本じゃ考えられないくらいの密度で、それはそれで向き合い方の違いが面白かったですし、何より大量の作品を一気に鑑賞できてよかったと思います。地震が無くて羨ましいですね。
はい、ガッツリ引用で紹介オワリ! こういうお部屋に徳化窯がミチミチに詰められてたワケです。素敵。
では徳化窯の方にいきましょう〜。
今のところ私の手元にある資料のうちの1冊*1には77点の徳化窯陶磁が載っています。その内訳を猛烈に雑ですが表にしてみました。
合計で77点(のはず)なのですが、リストにしてみると少なく見えますね。座っている観音像が多い印象です。固有名称のある人物像というのは文昌や布袋のように、仙人や神仏などでよく絵画のモチーフにされているものです。一方固有名称無しとなっている方はオランダ人や婦人、賢人など、ただの人物像であることしか題名・見た目から判らないというものです。
このデータからは人物像や動物像、英語でいえばフィギュアというのでしょうか、そういったものが多いことが分かる気がします。また、この表からだけでは分かりませんが、ざっと見た感じでは10インチ程度、おおよそ25cmほどの作品が多いような印象も受けました。
以下が表です。
お次の資料*2 には160点の資料がありましたので、そちらもリスト化。
先ほど使用した資料*3と1点だけダブる資料があったため合計は159点です。多分。
急に食器や文具が豊富になりました。しかし、どれもシンプルなものばかりです。その上、物によっては細部の作り込みが甘いようなものまで見受けられる印象でした。しかしその一方で観音像は非常に洗練された作りで、神聖な雰囲気を醸し出しているものが大半で実に興味深く思いました。以下がリストです。
主観的な感想ばかりですが、もう今日はリスト化だけでくたばってしまいました。さらに細かく見ていくのは次回以降にしましょう。今回も、お読みいただきありがとうございました。
〈参考文献〉
Rose Kerr & John Ayers "Blanc De Chine -Porcelain From Dehua" Curzon Press. 2002
John Ayers "Blanc De Chine -Divine Images In Porcelain" Art Media Resources,Ltd. 2002
https://kotobank.jp/word/クンストカンマー-1308296 2020年7月16日閲覧